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すごいお婆ちゃんに出会った

今日は会社(トヨタ系部品メーカー、某工場)ですごいお婆ちゃんに出会った。

私は今、これまでいた職場とは別の部署に応援に駆り出されている。
今日は朝から、大きな木製の棚を3つほど、班長と二人で解体することになっていた。

ISO14001を取得しているこの工場では、棚ひとつといえども、簡単には捨てさせてもらえない。一辺50センチを超えないように解体、切断して、分別しなくてはならないのだ。

班長に連れられて廃材管理課へ行き、ハンマーとチェーンソーを借りて棚のある場所まで行った。
「じゃあ、俺は会議があるから、あと頼むね」
巨大な棚3つと共に残された私。
仕方がない、やってみるか。
ハンマー片手に棚を壊し始めたが、しばらくやってみて途方に暮れた。
頑丈に作ってある棚はそう簡単に分解できる代物ではなかった。2時間経っても、3つのうちひとつすら分解できない。しかもその後で切断までやらなければならないのだ。
「こりゃ、1日掛っても終わらんな」

うんざりして腰をさすっていると、先ほど廃材管理課で道具をかしてくれたおばあちゃんがやってきた。
そして私が分解した木材をリフト台の上に整理し始めた。
たまに大きめの木材をこちらに放ってよこす。
「これはちっと大きいから、もっぺん切ったって」
なるほど、私がいい加減に済ませるといけないから監視しにきたのだな。
おばあちゃんは、一通り木材を整理するとどこかへ行ってしまった。

まだ丸々2つ以上も棚が残っている。こういう作業は一人でやるのは寂しいものだ。
段々と疲れがたまってきて、手元が怪しくなってきた。そろそろ休憩しようかと思ってた時に材木で膝を打った。
「痛ってーな、ちくしょう」
完全にやる気が無くなった。膝をさすりながらぐったりしているところへ、さっきのおばあちゃんが同じくらいの歳のおじいさんとやってきた。

おばあちゃんは黙ってAMラジオを付け、私とおじいさんに缶コーヒーを差し出した。

おばあちゃんは飛び出た釘を叩いて寝かし、やぜっぽっちのおじいさんが手際よく棚を解体していく。
そこへ通りがかったおじさんがもう一人加わって、1時間程度で解体が終了してしまった。
今度はそこへ、どこかの組の職長がフォークリフトで通りがかった。
「あんた、丁度いいとこに来なすったね。これを向こうに運んだってよ」
おばあちゃんにそう言われても、職長は嫌な顔ひとつせずに廃材を運ぶ。
「おばあちゃんって、すごい顔が利くんだね。あの人職長だよ」
「だってあたしが頼んだら、だーれも断らんもん」
そう言って笑うおばあちゃんは最高に素敵だった。

会社からは何の権限も与えられていないゴミ捨て場のおばあちゃんが、人徳ひとつで色んな人を動かしてしまう。今朝がた仕事を押し付けて会議に行った班長とはえらい違いだ。人と人が、こんなふうに係り合って働けたら、組織も良くなると思うのだが・・・・。

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